今回ご紹介するのは今年3月初版の、新しい本です。
それも、発達障害の「女の子」にフォーカスを当てた育児本。
発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」
発達障害の子どもの男女比はだいたい8:2と言われていて、圧倒的に男の子が多い。
それも、男の子の場合は特徴が表に出やすく時に迷惑行動として周囲は気がつきやすいけれど、女の子は「おしゃべりが過ぎて浮く」「おとなしすぎて目立たない」など、本人が困っていても周囲は気がつきにくいらしい。
発達障害の女の子には自然と身に付くことが難しい身だしなみなどの生活習慣や、子どもの身体を守るための性教育をどう進めれば良いかがかなり詳細に書かれていて、とても感銘を受けた。
スポンサーリンク
新たに学んだこと
「3割幼い」ではなく…
どこかで読んだ資料の中に、「発達障害の子は実際の年齢の7割だと思うと良い」と書いてあった。
それは、定型発達の子と比べてしまってショック・イライラする親御さんのガス抜きの目的だったり、実際、ゆっくりとした発達なのだから合ってると感じる。
うちの娘も、小3から安定して学校へ行ける日がぐんと増えたので、7割の5,6歳だと思えば、ようやく1年生。
ほとんどの1年生が小学校生活へ適応していくのだから、「ようやく追いついた~」といった感じ。
こちらの本では、
「ゆっくりなお子さん」のほんとうの意味は、「3割幼い」のではなく、定型発達に比べて「3割学び取ることができない」という意味です。(p.38)
と、ガツンと主張している。
「自然と学び取れない3割」を、どうやって学ばせるのか、身につけさせるのか、それを保護者に考えさせ、発達障害の子を守らせる。
さらに家庭に留まらず、理解者・支援者の手をもっと増やしていきたいという筆者の熱意が伝わってきます。
分かっているようで抜けていた
病院の主治医や担当の臨床心理士、学校のスクールカウンセラー、担任の先生…娘を支えてくださる方々にお話する機会があるけれど、お伝えするのは「起こっている事実・困っていること・〇〇してもらうのは可能か・意見をほしい」など。
面談の時間も限られているので、スパッと手短に済ませている。
確かに、上記のとおり、親目線の言葉よりも「子どもの状態を代弁して相談する」方が、単刀直入で分かりやすい…。
でもこれって、我が子可愛さの贔屓目にならないように気を付けるのも重要な気がする。
特に学校への相談の時には。
クレーマーにはなりたくない。
「ママ友」は割り切る
娘が「ともだち」とトラブルになった時、当然相手のお子さんのお母さん(ママ友だった)ともこじれてしまい、かなり辛かった。
娘は、ASの鋭い勘というか、感情抜きに本質を見抜くことができる(※)ので、その物事に対して諦めと許容が早く「もういい」と吹っ切ったが、私は長く引きずってしまった。
※冷たいというか、感情論でブレることがない。
「『女子』っぽくないこと」が、トラブルの原因にもなっている。(詳細記事)
主人は「学校では困るかもしれないけど、社会に出てから広い世界に羽ばたいていけるかもね」と、楽観的だ。
感情的にぐだぐだ仲良しごっこしてる『女子』は世間が狭く仕事も出来ないのだ、とは主人の見解。
私は精神的に疲弊し、もうこりごりだと思った。
だから、ここに書かれている、
つながりがなくてもそれほど大きな損失はないので無理をしないことです。(p.54)
の言葉に励まされたし、あれから少し時間が経過した今、その通りだと感じる。
携帯電話(インターネット)のルール
- ネット上の「危険」を察知することは苦手
- 危険性を教える→ルールを決める→トラブルになった時の対応策を考えておく(一緒に)
- 約束を破った場合の罰は、必ず親も守ること
(約束を反故する=罰が実行されない=と子どもから信頼されなくなる)
発達障害の女の子の性教育
性教育を始める前に…
- 「自分は大切な存在である」と認識させる
- 基本的な生活習慣を整える
- 「ルールとは何か」を教える
「自分は大切な存在である」と認識させる
「大切にすること・されること」を周囲の大人が意識して伝える
- 家族間で「約束を守ること」を心がける=相手を大切にしている気持ちの表れ
- 約束を守れなかった場合の「ペナルティ」も守る
- 約束を守ることは、社会のルールを守ることにも繋がる
基本的な生活習慣を整える
- 清潔
(お風呂=男女は違う※、身だしなみ=男子より高い水準を求められる) - 就寝
(決まった場所で安心して眠る) - 食事
(食べたものが体をつくる、お手伝い=役に立っている認識) - 排泄
(発達障害の子は腹圧が弱い)
※「プライベートゾーン」は自分だけのもの、他人に見せたり他人が触れたりする場所ではない
生活習慣を整えることは、自分の身体を大切にすることに繋がる
「ルールとは何か」を教える
「ルール=制限」ではなく、ルールは「人々の安全や権利を守るため」にある
社会生活のルールは、自分や自分の大切な人を守るためのものだと理解させてあげる。
生理や身だしなみについて
本書では、食事のマナーや身だしなみについても、発達障害の女の子にとって苦手な部分にページが割かれている。
うちの娘も、幼稚園児の妹より食べかすを散らかすことが多いので「やっぱりそうなのか~」と半分笑ってしまった。
生理が来る前に教えておいた方がよいことや、下着選びについても詳しく書かれている。
発達障害の子どもは感覚過敏がある子もいるので、助かります。
髪の毛のくくり方や、ムダ毛の処理まで。
娘は、身だしなみに無頓着で「男子ぽいなぁ」と個性だと思っていたのだけど、これから高学年になるうちに無頓着すぎるのもどうかと思えてきたので、じっくり取り組みたい。
望まない妊娠、性的搾取やDVから身を守るために
もっと深く掘り下げて書かれているページもある。
↓こんなダメ男リスト、誰に言われなくても大人になるにつれて何となく学んでいくことなんだけど、発達障害の子には知識として親が教えることが大切なんだと実感。
↓挿絵の「デズモンド・モリスの人間行動学」が気になる。6番目~11番目は何なのか…。
分かったこと
- 発達障害の女の子は、メタ認知やイメージ力が弱いので、不足する部分は保護者が教える必要がある
- 性教育を始める前に、やるべきことがたくさんあった!
今まで読んだ本とは切り口が違い、女の子の生活にとても大切なことがたくさん学べた。
すごくタメになりました。