図書館で借りた本。
7年前の出版なので、少し古いかな?と思ったけれど、中身はとてもタメになった。
購入したくなった。
この本が、「今まで読んだ本と違うな」と感じたのは、冷静に・客観的に・本質的に・言いにくいこともズバッと・書いてくれている点。
もちろん、他の本が冷静ではなかったり客観的ではなかったという意味では全くない。(そんな中身では出版できない)
この本が、今までの中でも「特に」踏み込むところは踏み込んで淡々と述べてくれるところが気に入った。
なので、「うちの子、少し変わってる。何かあるのでは…?」くらいのモヤっとした気持ちで読むと、苦しくなるかもしれない。
(その場合、理解の為の説明と柔らかい前置きがある本が適しているかと考えます。
例えば、こちら→発達障害のある子を理解して育てる本 (ヒューマンケアブックス))
この本は、「発達障害の」お子さんに関わる大人が、理解・自立・支援の道を考える為の本。
ニーズが合う人には、スーッと染み込み、とても役に立つ本です。
本人が「生きていてよかった」と思えるサポートを
娘には「自閉スペクトラム症(ASD)」の診断が下りている。
その中でも、以前の医学的診断名で該当するのは「アスペルガー症候群」とのこと。(主治医にも確認済み)
「発達障害」に含まれる、ASD以外の「ADHD(注意欠陥多動性障害)」や「LD(学習障害)」の特性はほとんどないタイプ。
※個人個人で、タイプは違います。
なので、「発達障害の~」という題名の本では、ASD以外のページはあまり役に立たないのでは?という根拠のない勝手な想像があった。
でも、この本で「どのタイプの子がどんな困り感を持っているのか」がよく分かり、原因や対応・支援策を読むうちに、「タイプが違っても、その対応には共通点がある」ことが理解出来た。
共通点とは、
- 問題とされる行動には理由がある
- 出来ることと出来ないことを把握する
- その子の困り感を理解する
- うまくいくコツを一緒に考える
- 許容し、励まし、支える愛情
である。
その子のタイプによって困っている内容は違えども、周囲の大人の必要なかかわり方は同じなんだと、実感した。
今年に入り、発達障害という言葉、内容、人が、突然身近になった。
ようやく、理解が進んだ気がした。
↑最終ページ。
診断が下りる前の子育てだと、ここまで考えたことがなかった。
娘と、娘の人生と、家族の幸せと…真剣に向き合う機会になり、本当に良かった。
発達障害の特性に気付かれずに自己肯定感が低いまま年齢を重ねた場合
このような二次障害を併発することもある。
娘は、約2年間不登校だった。
これも、二次障害だったと思う。
娘の内面を見ることよりも、「学校へ行ってほしい」気持ちが先行していた時期だった。
娘と向き合い、親の考え方が変わった今、娘は自分から学校へ通い出した。
まだ教室で授業が受けられないことが多いけれど、確実に前へ進んでいる。
虐待を受けている子どもの半数以上に発達障害
このような、ハッとする内容も読めます。
できないときに叱る日本的な子育ては発達障害にミスマッチ
娘の場合は、幼児期に必要なしつけで出来ないことはなく、子育ては楽だった。
(登園渋り、場所見知りやおとなしい性格について、叱るものではなかったので)
それまでの日常生活では目立たなかった娘の持つ感覚の過敏さや視覚優位などの発達の凸凹が、入学後、彼女の中で「困り感」を膨らませていったのだと思う。
登校渋りに陥り、初めて娘の「できないこと」が現れた。
そこへ、私は叱ってしまった。
「頑張ったら行ける」「慣れたら行ける」と根性論で叱って無理矢理行かせた。
無理矢理行けるものでもなく、娘は不登校になった。
ミスマッチな子育てをしてしまった一例だ。
関わり方の基本
これは、学校の先生や、家族以外で長い時間を共に過ごす人がいる場合、是非読んでほしい項目。
ペアレントトレーニング・スキルトレーニング
子どもの行動の意味を考え、頭を整理する方法が分かる。
その後、「できていること」に気づき、「努力しているところ」に工夫を見つけ、サポートを続ける。
スキルトレーニングに関して大人の心得(P.51)
- スキルは子ども自身が人生を楽しむためのもの
- 「~しないように」ではなく「できるためにどうするか」
- うまくいくための工夫がある
- 「ふつうは」どうかではなく、その子は「できていること」の確認から
- できないことを叱るのではなく、できたことをほめる
- 日常のなかで成功体験を積み重ねる
- こちらが当たり前と思うことが当たり前ではない
これは、心に刻まなければ。
娘はもうすぐ、かかりつけ医のもとでSST(ソーシャルスキルトレーニング)を始める予定なので、親が力み過ぎないよう、立ち位置をしっかり持たねば。
※SSTを始めることになったきっかけ・経緯は長くなるのでいずれ別記事に書きます…。(書きました)
『ふつうになるために訓練しなくちゃ』
これも危ない…。
親が熱心になればなるほど、間違った方向へ行ってしまいそう。
「あなたは〇〇と考えるけれど、普通は●●だから…」
などと言ってしまうと、ますます傷ついて自己肯定感が下がってしまうね。
スキルトレーニングの内容
本書には、色々なスキルについてのトレーニング法が書かれている。
上の写真の、左側(次のページ)の部分。↓
他の本でも、「困ったら相談できるスキル」が大事だと書かれていた。
それは、子どもが働くようになったら、もっとも重要になるスキルと。
イレギュラー時・トラブル時に相談のない部下って…。
考えるだけで恐ろしい…。
他には、
大人でも出来てない人とたまに遭遇するスキルとか↓
右のページ↓
我が子のできていない箇所を把握する為にも、このように文字に起こされているものをしっかり読んで、必要時に説明・サポートできるよう備えるのも大事だなと思った。
感じたこと
監修の杉山登志郎先生、辻井正次先生の著書をもっと読みたいと思った。
協力の「アスペ・エルデの会」のことも知りたい。
良い本に出会えてよかった。
ちなみに「幼児編」もあります
(発達障害のある子どもができることを伸ばす! 幼児編)